アンドーインターナショナル発売の手回し発電機構内蔵4バンドラジオです。本機は、 TECSUN(徳生)Green-88 EMERGENCY RADIO RECEIVER のOEM商品と思われますが、FM受信周波数は日本仕様に変更してあります。日本の家電メーカー製でも発電機内蔵の防災ラジオはありますが、短波放送が受信出来るものはありません。さて、私は2011年3月11日の大地震が引き金になった原発事故の例を見て、この国の隠蔽体質が嫌という程わかりました。自然災害等による重大な事故が起きた際には海外メディア報道の方が信頼できる場合があり、災害に遭って乾電池の入手が困難な場合でも自家発電しながら海外メディア(短波)を受信出来る本機は(国内メディアが信頼できない以上)真のエマージェンシーラジオといえるのかも知れません。高級化した高機能短波ラジオよりも本機のような発想の商品に中国製ラジオの本当の面白さがあるように思います。
さて、肝心な感度ですが、スーパーラジオの水準はクリアしていて全く問題ありません。寧ろこの種の(お気軽な)ラジオにしては高感度の部類に入ると思います。スピーカーの音質も意外に良く非常に聴きやすいです。イヤフォンジャックは3.5mm TRSタイプなのでステレオ用のイヤフォンがそのまま繋げられ両耳から聞こえます(音声自体はモノーラルです)。TS(モノーラル)タイプのプラグは片側のアンプ出力がショートしてしまうので使用できません。充電用の電源として3本組のニッケル水素電池パック(2/3AA ×3)を内蔵していますが、日本の家電メーカーの手回し充電ラジオのようにユーザーが消耗した充電池を一切自分で交換出来ないようなことはなく、電池ボックスの蓋を開ければ容易に取り出し交換が可能なところが非常に好印象です(コードレス電話器用の交換電池で同じサイズの市販品がありますが、コネクターの極性が逆なので実際に使用する場合は改造が必要です)。白色LED内蔵で、ラジオの電源とは関係無しに(単3型電池が入っていればそちらが優先されます)ライトを独立してON/OFFできます。反射鏡の形や蓋が開けられるところを見ると、以前のバージョンではLEDではなく麦球が使われていたと思われます。更に、しっかりとしたショルダーバックが付属していますので持ち運びにも非常に便利です。アナログ式なので電池の保ちもよく、非防水ですが持ち出し用としてしっかり配慮されているのも本機の美点です。
しかしながら欠点がないわけではありません。チューニングダイアルが非常に独特な操作感で、同調点を行き過ぎてしまって戻る場合の遊びが大きく、即座に同調点に戻れないのがもどかしいです。折角ダイアルが2重になっていて、高速と低速の使い分けができるのですが、簡易型で作りが雑なのでギアの噛み合わせの具合でダイアルが重くなったりします。ドリフトもかなりあり、時間の経過とともに周波数がずれやすいのが難点です。また、この種のラジオによく見られる周波数表示そのもののズレもあり、目盛り(周波数)は大まかな目安にしかなりません。これらの点が改善されれば感度といい音質といい非常に満足度の高いラジオになると思うのですが実に惜しいです。同様にロッドアンテナも雑な作りなので、ある時アンテナを伸ばしたら先端の1段がすっぽ抜けてしまいました。同時に抜けた留め金とともに元に戻して見たのですが、一度抜けてしまったものはダメみたいで、結局メーカーにロッドアンテナだけを部品注文して自分で修理しました。部品代は1400円でちょっと高めでしたが、市販のロッドアンテナでは寸法が合わないのでまあ仕方無いですね。折角の防災ラジオですからもう少し頑丈に作ってほしかったです。このラジオのアンテナは特に丁寧に扱いましょう。
【2017年3月24日追記】